あたし達は再び駅にいた。
けれど、着いた時とはまるで様子が違ってしまっていた。
単線でたったひとつしかないホームが空っぽになってしまい、あたし達をここまで乗せてくれた列車が忽然と消えてしまっていたのだ。
しかも、駅舎もなんだか妙だった。西部劇に出てくるような木造の建物だったのに、なんだか日本の片田舎にでもありそうなモルタル作りの駅になっている。
「いったい、どういうこと?」
月は何も応えてくれない。さかんにパソコンで何か調べている。
そしてあたしには、再びデジャブみたいな奇妙な感覚が蔓延っていた。なんだか、うんと幼い頃に来たことがあるような・・・・。
待合室から駅の前に出てみる。
赤いポストがあって、その横に大きな桜の木が一本。誰がどう見ても日本の光景でしかない。
「やっとわかったよ!」
飛び出してきた月が言う。
「今は1958年だ」
「そんな昔なの?あたしはまだ生まれてないってことか・・・・。あのね、あたしはね、ここは日本だと思う。それにね、この駅もその桜も、それから田舎っぽい町並みも、どうしても見覚えがある気がしてならないの」
「あっ!」
と、あたしと月は同時に叫んでいた。
二人で一緒に振り返る。
駅の看板には大きな字でこう書かれていた。
五百石駅
そう、ここはあたしが生まれ育った町だったのだ。
ただし、あたしが生まれるずっと前、昭和33年の。